今回は日本政策金融公庫の創業融資を申し込む前に絶対に知っておくべきことを3つ紹介します。
この3つをクリアできているかどうかで、その後のあなたの行動が変わります。
場合によっては、創業計画を考え直す必要が出てくるくらい重要なことです。
たった3つしかないですが、必ず事前に確認してみてください。
自己資金の用意は必須
創業融資を受けるためには、必ず自己資金を用意しなければいけません。
なぜなら日本政策金融公庫で創業融資を受ける上で、評価の対象の一つになっているからです。
多くの人にとって日々の給料からまとまった資金を貯めるのは大変ですよね。
場合によっては、何年もこつこつと貯金してようやく準備が整うことでしょう。
その苦労に打ち克つ意思の強さを経営者の資質の一つとして日本政策金融公庫は考えているのです。
それでは自己資金とは、具体的に何を指すのかお伝えします。
自己資金とは
あなたが事業に使用するために貯めたお金のことを言います。
ポイントは、「事業に使用するためのお金」というところです。
通帳の残高全て(株や不動産などその他の資産も含む)が自己資金になるのではありません。
事業に使う分だけが自己資金になるということです。
ただし、資産がたくさんあると少し事業がうまくいかなくても生活に支障が出ないため融資の審査をする上でプラスになります。
面談の時に資料の提示ができるよういくら資産があるのかまとめておくといいでしょう。
そして、どうやってそのお金を貯めたのかも証明する必要があります。
口頭で説明できることも大事ですが、基本的に日本政策金融公庫の担当者はあなたの通帳を見て確認をします。
これから創業を考えている人は、定期預金や専用の口座を作って自己資金を積み立てていくと説明がしやすくておススメです。
必ずやってはいけないことは、他人から借りたお金を自己資金だと偽ることです。
ほぼ間違いなくバレますし、バレるとその時点で審査に落ちます。
次に、時々質問を受けるタンス預金について解説します。
タンス預金をしている人はどうすればいいのか
たまに銀行にお金を預けるのが嫌でタンス預金(自宅に現金を貯めていること)をしている人がいます。
しかし、タンス預金は、自己資金と認められない可能性があるので注意してください。
本当にそのお金をあなたが貯めたのか証明できないことがあるからです。
客観的に貯めた経緯を説明できれば問題ないのですが、銀行に預けるほうがもめるリスクは少ないです。
親、兄弟、友人、知人からの借入は自己資金?
自分で貯めたお金だけでは足りないときに、親などから資金を借りることもあるでしょう。
この借入は、当然ですが自己資金としてカウントされません。
では親や親族からの援助ではどうでしょうか?
実は、返す必要がないのであれば自己資金としてみなしてもらえる可能性があります。
返す必要がないことを証明するために、贈与契約書などを作成しておくといいでしょう。
ただし、自己資金の大部分が親などからの援助だと担当者の印象はよくないです。
ほとんどが援助されたお金だとあなたの努力が感じられないからです。
できれば自己資金として用意する金額の7割以上は、自分で貯めるようにしましょう。
結局自己資金はいくら用意すればいいのか
日本政策金融公庫の新創業融資制度を受けるためには、創業資金総額の10分の1以上を用意する必要があります。
ただし、実際にいくら用意すればいいかは創業のために必要な資金の総額、申し込みをする借入希望額などによって変わります。
一般的に用意すればいい資金の最低ラインと言われているのが100万円です。
公庫の担当者に聞いても、最低でも100万円は用意してほしいとおっしゃいます。
100万円未満でも融資に通ることはありますし、私がサポートした方でも数十万円の自己資金で数百万円の融資を受けた方はいらっしゃいます。
しかし、自己資金が少ないと審査の上でマイナスの評価をされてしまうのは間違いないです。
ネットで検索すると自己資金が0円でも融資を受けることができた、受けることができるという記事が見かけられますがあまり信用しないように。
フェイクではないですが、確率としてはほぼ0に近い割合だと思います。
実際に担当者に質問したことがあるのですが、自己資金が少ない人の審査を通すのは非常に難しいとおっしゃっていました。
必ずご自身でお金を貯めてから融資を申し込んでくださいね。
それではあなたが始める事業の業界経験が必要かどうかお伝えします。
経験がなくても創業融資が受けられる?
私が創業融資を受けたときは、申し込みの要件にはっきりと6年以上の業界経験が必要と書かれていました。
現在の日本政策金融公庫の創業融資の要件には、このように書かれています。
雇用創出等の要件
「雇用の創出を伴う事業を始める方」
「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」
「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」
「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)
なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
特に年数のことは書かれていませんね。
また貸付金残高が1,000万円以内だと、この雇用創出等の要件は満たすものとすると書かれています。
ということは業界経験がなくても創業融資は受けられるということでしょうか?
これはあくまで申し込みができるだけだと考えてください。
融資が通るかどうか、希望の金額が借りられるかどうかは別問題です。
公庫の担当者も業界経験が豊富な人ほど評価する傾向があります。
自己資金が少なくても経験が豊富だと融資が通るくらいです。
例えば、飲食店のほとんどのお店が10年以内につぶれます。
それは業界経験が豊富な人であっても長くお店を続けるのが難しいということです。
そんな中、飲食店で働いたことがない人に多額のお金を融資すると思いますか?
実際に、業界経験がない人が融資を通すのはかなり難しいです。
大口の契約がすでに決まっていることが契約書などで証明できなければ、ほぼ不可能だと思います。
経験がない業界で事業をやりたければ、できれば3年、最低1年でもいいので経験を積んでから申し込みをしてください。
個人信用情報に気をつけろ
まず個人信用情報とは何を指すのかですが、
信用情報とは、クレジットやローン等の申し込みや契約に関する情報を指します。本人を識別するための情報のほか、クレジットの申込内容や契約内容、支払状況、残高などで構成されており、主にCICに加盟するクレジット会社等から登録された情報になります。
-CICのホームページより
どこにどんな種類の借入があり、毎月きっちりと返済しているか、残高がいくら残っているか、返済していないものがないかなどの情報が登録されています。
銀行からの借入だけでなく、消費者金融からの借入、クレジットのリボ払い、カードローン、最近では携帯端末の割賦払いなどもこの個人信用情報に含まれます。
日本政策金融公庫の借入申込書には、この個人信用情報を下記の機関に照会して調べると書かれています。
ほかの借入があると融資の審査に不利になるからと、嘘の申告をしても必ずバレると思ってください。
では何を調べるのかですが、事故履歴(3ヶ月以上支払いがない延滞)や定期的な支払いの遅れ、破産情報などを確認します。
なぜ個人信用情報を確認するかですが、あなたが借りたお金をちゃんと期限を守って返してくれる人なのか判断するためです。
延滞や直近2年間で複数の支払い遅れが情報として載っていると、ほかの部分の評価がよくても審査には100%落ちます。
それくらい日本政策金融公庫では、個人信用情報というものを重視しています。
ですので、自分の個人信用情報がどうなっているかわからない人は、申し込みをする前に先ほどの信用情報機関に照会をしてみてください。
もし問題があれば日本政策金融公庫から融資を受けることは無理なので、ほかの銀行に申し込みをするのが賢明です。
まとめ
日本政策金融公庫に創業融資の申し込みをする前にクリアすべき3つのポイントをご紹介しました。
自己資金、経験、個人信用情報のどれもすぐには変えられないことがわかってもらえたでしょうか。
もしどこかに不安があるのなら、いったん融資の申し込みはストップしてもいいかもしれません。
一度審査に落ちてしまうと1年くらいは申し込みができないからです。
また審査に落ちた履歴も残ってしまいます。
まずは自分が申し込んでもいい状態か確認してもらい、問題なければ創業計画書の作成に進んでください。