所得税の予定納税はいくらから?計算方法と減額方法についても解説

3月の確定申告で多額の納税をした自営業者・フリーランスの方、こんにちは税理士の空閑です。

 

税務署から6月15日までに予定納税の通知書というものが届きます。

 

初めて確定申告をされた方、納税額が例年より増えた方は突然税務署から税金を支払うよう言われびっくりされるかと思います。

 

予定納税は、たくさん税金を払っている方は次の年もたくさん納税するだろうから先払いしてねという理屈で作られた制度があります。

 

突然予定納税をすることになった方々のためにその仕組みを紹介します。

 

この記事を読んでほしい人
  • 独立したての自営業者・フリーランス
  • 確定申告で多額の納税が発生した自営業者・フリーランス
  • 予定納税の制度を知りたい方

 

所得税の予定納税とは

あなたが、次の確定申告をするときに納税することになる所得税の一部を先払いする制度です。

 

来年の3月にいくら所得税を支払うことになるかなんてわからないから計算しようがないじゃないかと思うかもしれません。

 

税金を集める側も考えたもので、前の年の所得税をもとにして概算で計算する仕組みにしています。

 

対象となるのは、その年の5月15日時点において確定している前の年の所得税をもとにして計算した金額が15万円以上の方です。

 

国税庁のタックスアンサーも参考にしてください。

 

年間の所得税が15万円以上だと税金を前払いする必要が出てくる可能性があると覚えておいてください。

 

 

予定納税額の計算方法

先払いすることになる所得税を計算するためには、予定納税基準額というものを把握する必要があります。

 

大半の方の予定納税基準額は、前の年の所得税と同じ金額になると覚えておけば大丈夫です。

 

退職金をもらった、不動産を売って多額の利益が出たといった臨時収入があった方や災害にあってしまった方は前の年の所得税とは違う金額になります。

 

先払いする所得税の金額は、予定納税基準額の3分の1で、支払回数は年2回。

 

予定納税基準額が30万円なら、10万円を年2回、合計20万円を先に支払うということです。

 

その年の所得税が35万円だったら先に支払った20万円を差し引いた15万円を3月に支払うことになります。

 

逆にその年の所得税が15万円だったら5万円が還付されるので、払いすぎになることはありません。

 

予定納税基準額を把握するための条件も載せておきます。

 

ややこしいので読み飛ばしてもOKです。

前の年の所得税がそのまま予定納税基準額になるケース

つぎのいずれにも該当する人は、予定納税基準額=前の年の所得税です。

 

1.前年分の所得金額のうちに次の所得の金額がない

  • 山林所得
  • 退職所得等の分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得等を除く)
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得
  • 平均課税を受けた臨時所得の金額

 

2.災害減免法の適用を受けていない

上記に該当しないケース

上記に該当しない人は、次の金額が予定納税基準額になります。

 

 前年分の課税総所得金額及び分離課税の上場株式等に係る課税配当所得等の金額に係る所得税額(除外所得の金額がある場合には、除外所得の金額がなかったものとみなして計算した金額とします。また、災害減免法の規定の適用を受けている場合には、その適用がなかったものとして計算した金額とします。)から源泉徴収税額(除外所得の金額に係るものを除きます。)を控除して計算した金額及び当該金額の復興特別所得税額の合計額

所得税が15万円以上でも予定納税しなくていいとき

個人事業主の場合、事業の内容によって売上から所得税(源泉徴収税額)が引かれています。

 

予定納税基準額は、この源泉徴収税額を差し引い後の金額になります。

 

予定納税も源泉徴収も所得税の先払いなので、源泉徴収された所得税を予定納税基準額から控除しておかないと先払いしすぎになってしまうからです。

 

よって年間の所得税が15万円以上でも予定納税をしなくていいケースが出てきます。

 

具体的な計算方法は以下を参考にしてください。

 

  1. 利子、配当、不動産、事業、給与の各所得の合計金額
  2. 所得控除の合計金額
  3. (1-2)×所得税率-1に対する源泉徴収税額×100/102.1
  4. 3+3×2.1%(復興特別所得税)=予定納税基準額

 

1の金額は、確定申告書Bの1番から8番を見て計算します。

 

2は、確定申告書Bの25番の金額です。

 

所得税率はこちら

 

3の源泉徴収税額は、確定申告書Bの44番に記載されています。

 

1の所得しか発生していないときは、確定申告書Bの45番の金額が15万円以上かどうか確認するだけで予定納税基準額がわかります。

 

 

 

予定納税の支払いはいつ

 

予定納税は年2回行わなくてはいけません。

 

  1. 第1期:7月1日から7月31日
  2. 第2期:11月1日から11月30日

 

この期間中に支払う必要があります。

 

最終日が土日と重なると次の平日まで期限は延びます。

 

支払い方法は年々増えており、

  • 税務署、金融機関での現金払い
  • 振替納税
  • ネットバンキング
  • クレジットカード
  • コンビニ払い(専用の納付書が必要)

などがあります。

予定納税額は減らすことができる

予定納税額は、毎年の所得(利益のようなもの)はそこまで変動しないだろうという考えにより前年の実績に基づき計算されます。

 

そのため業績不振などの理由により前の年より所得が落ち込むと予想されるときは、申請により予定納税額を減額することができます。

 

申請書には所得金額の見積額を記載するので、申請を考えているなら売上や経費の集計は定期的にしておきましょう。

 

減額申請手続きについてはこちら

 

第1期、第2期分の減額申請は7月1日から15日まで、第2期分の減額申請は11月1日から15日までが期限です。

 

 

まとめ

急に税務署から通知書が届くと驚くかと思います。

 

ただ予定納税をすると3月にたくさん税金を払う必要がなくなるため資金繰り的にはメリットもあります。

 

ぜひ申告書を見ながらその年の予定納税額を計算してみてください。

 

自分で申告をされている方におススメの本です。