従業員に支払う給料が増えたら所得拡大促進税制の適用を検討しよう

人を雇っている場合で、基準の年度から給料の額が増加しているときは法人税(住民税も)が安くなるかもしれません。

 

事業が拡大している企業では受けやすい制度なのですが、意外と知られていない節税方法です。

所得拡大促進税制とは

青色申告書を提出している法人が、下記の全ての要件を満たしている場合に、増加した給料の10%を法人税額から控除できる制度です。

 

ただし、税額の10%(資本金1億円以下のいわゆる中小企業の場合は20%)が上限となっています。

 

適用期限は今のところ平成30年3月末までに開始する事業年度です。

 

ちなみに個人事業主でも受けられますが、今回は3月決算の中小企業をベースに考えていきます。

要件

適用を受けようとする年の給料が基準となる年の給料より一定割合以上増加していること

 

 

 

基準の年は平成25年4月1日以降に開始する最も古い事業年度の1つ前の事業年度と決められており、今回のケースでは平成24年4月1日スタートの事業年度になります。

 

比較する給料には役員とその親族の分は含めず、パートやアルバイトの分は含めます。

 

給料には賞与は含みますが、退職金や所得税が課税されない通勤手当は含みません。

 

なお、平成25年4月1日以降に設立された法人の場合は最も古い事業年度の給料に0.7を乗じて基準となる年の給料を算出します。

 

ちなみに設立1年目の場合でも要件に該当すれば適用は可能です。

適用を受けようとする年の給料が前年よりも増加していること

 

 

 

給料が増えていればいいので、こちらの要件のハードルは低いです。

適用を受けようとする年の一人あたりの平均給与が前年の一人あたりの平均給与を上回っていること

この要件が一番ややこしいです。

 

まず適用年度に入社した方と前の年に退職した方は比較の対象外ですので給料の総額にも月毎の対象人数にも入れません。

 

そして雇用保険の対象となる人をベースに計算を行い、平均給与が上回っていれば要件クリアです。

 

 

 

節税額はいくらになるのか

実際いくら節税になるのかは、どれだけ法人税を支払うことになるかで変わってきます。

 

対象となるのは適用年度の給料から基準年度の給料を差し引いた450万円で、この10%である45万円がベースとなります。

 

そして法人税額が、300万円の場合は、その20%は60万円ですので45万円が控除され200万円だとその20%は40万円ですので、40万円までしか控除されません

まとめ

所得拡大促進税制は雇用促進税制のように事前に役所に届け出は必要ありません。

 

また比較年度のない新設法人でも要件にあてはまれば適用が受けられる制度です。

 

業績が拡大しているならその利益を従業員にも還元し、この制度を適用して節税しましょう。