会社員が節税するなら個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を利用しよう

税金なんて、できるだけ払いたくないですよね。

 

そんなあなたに大きな節税メリットのある個人型確定拠出年金(イデコ)を紹介します。

 

ぜひこの制度を活用して、少しでも所得税と住民税の支払額を減らしてください。

 

この記事を読んでほしい人
  • 節税に興味のある人
  • 少しでも税金を減らしたい会社員
  • 普段から投資をしている人

 

この記事を読んでわかること
  • 会社員でもできる節税の方法
  • 確定拠出年金(イデコ)の内容

 

年金制度の概略

下の年金概略図のように日本の年金制度は、複数の年金制度に分かれています。

 

土台の部分は、20歳以上の全国民に加入義務がある「国民年金(基礎年金)」です。

 

この国民年金は加入期間の長さでもらえる金額が決まります。

 

40年間(20歳から60歳まで)保険料を支払っていると年間779,300円(2018年現在)もらえます。

 

次に会社員などが加入する「厚生年金保険」があり、会社に勤めている人でしたら加入は強制です。

 

厚生年金保険の受給額は、加入期間の年収によって左右されます。

 

個人事業主・フリーランスは厚生年金保険に加入できません。

 

代わりに任意加入の「国民年金基金」という制度が設けられています。

 

追加の掛金の負担をすることで、将来の受給額を増やすことができます。

 

大企業は、「確定給付企業年金」という独自の年金制度を設けていることがあります。

 

また大企業でなくても「厚生年金基金」に加入し、従業員の福利厚生に力を入れている企業はたくさんあります。

 

年金概略図(省いている項目あり)

 

確定拠出年金とは

確定拠出年金の仕組み

確定拠出年金は、

  • 支払う掛金を自分で決めて(最低月額5,000円で上限あり)
  • 自分専用の口座に拠出し
  • 掛金の運用先を自分で選ぶことができる

年金制度です。

 

60歳になった時点で、今まで支払った掛金の合計とその運用益が受け取れます。

 

運用に失敗しなければ、自分が支払った金額+運用益が返ってきます。

 

2017年1月から加入対象範囲が広がったことで、爆発的に加入者数が増えています。

 

2016年で25.7万人だったのが、2018年6月で94.5万人まで増加しました。

給付金の受取方法

どのように給付金を受け取れるかが気になりますよね。

 

給付金の受取方法には、老齢給付金・障害給付金・死亡一時金の3種類があります。

 

給付の要件などは、以下の表のようになっています。

 

 

基本は老齢給付金での受け取りです。

 

これから定年となる年齢はどんどん上がっていくでしょうが、リタイア後に受けるというイメージです。

 

また一定の条件にあてはまり、確定拠出年金制度に加入できなくなったときは、脱退一時金の支給を受けることができます。

 

 

確定拠出年金のメリット

確定拠出年金には、特に税制面で大きなメリットがあります。

 

同じ運用先(定期預金や投資信託)でも確定拠出年金に加入しているかどうかで、年間の所得税・住民税の支払う額が変わってきます。

 

余剰資金があり、投資などを行っている方は加入しないと大きな損をしているかもしれません。

掛金が全額所得控除

確定拠出年金の掛金は支払った金額全てが所得控除となります。

 

所得税を計算する時の課税所得額から控除されます。

 

保険会社に年金保険・養老保険・学資保険などを支払っている場合は、生命保険料控除という所得控除が適用されます。

 

しかし、こちらは年間で数十万円の保険料を支払っていたとしても、最大で12万円までしか所得控除できません。

 

しかし、確定拠出年金は掛金の全額が所得控除の対象なので、年間276,000円(月額23,000円)を支払っていたら276,000円×税率の分だけ税金が安くなります。

 

例えば、課税所得が400万円の場合、所得税率は約10%で住民税も10%になりますので、所得に対して20%の税金がかかってきます。

 

年間276,000円の掛金を支払っていると、276,000×20%=55,200円、税金が安くなります。

 

課税所得が800万円になると、合計の税率は25%ですので、276,000×25%=68,750円、税金が安くなります。

 

これを20年以上続けていたら100万円以上の節税効果が生まれますよね。

 

これが確定拠出年金の最大のメリットです。

 

ただし、この掛金の所得控除は今支払う税金を60歳以降に繰り延べているだけです。

 

場合によっては、年金または一時金を受け取る時に税金を支払うことになります。

運用益が非課税

定期預金の利息、投資信託等の運用益には、通常その都度、税金を支払うこと(約20%)になっています。

 

しかし、確定拠出年金を利用して掛金を運用し、そこで発生した運用益に対する税金は非課税となります。

 

運用益の全てが、そのまま再投資されることになります。

 

本来税金が引かれて目減りする運用益が、非課税の状態で再投資されることになります。

 

複利効果が発生し、年金資産を年々増えていく可能性があります。

 

【通常の株式投資に対する税金】

株式投資で100万円の利益を出すと、約20万円の税金が引かれ、手元には約80万円しか残らない。

 

【確定拠出年金に対する税金】

投資信託で100万円の分配金を得ても、税金はかからないので0円。

 

そのまま分配金100万円で、投資信託を購入することになる。

給付金受取時の優遇措置

確定拠出年金は、給付要件にあてはまると給付金を受け取ることができます。

 

その内容によっては、以下のように税金の対象となってしまいます。

 

税金の対象とはなってしまいますが、単純に同じ金額を給料としてもらうよりも支払う税金が安くなるのが特徴です。

 

  • 老齢給付金(年金):雑所得として課税(公的年金等控除)
  • 老齢給付金(一時金):退職所得として課税(退職所得控除)
  • 障害給付金:非課税
  • 死亡一時金:相続税等の対象
  • 脱退一時金:一時所得として課税(特別控除50万円)

老齢給付金を一時金として受け取ったとき

老齢給付金を一時金で受け取ると、その一時金は退職金としてみなされ税金の計算が行われます。

 

退職金として計算された場合に何がお得なのかと言いますと、退職所得控除が適用されることです。

 

以下の計算方法のカッコ書きの部分が、退職所得控除です。

 

 

 

【30歳で確定拠出年金に加入し、老齢給付金を60歳で受け取る場合】

 

積立年数は30年です。

 

40万円×20年+70万円×10年=1,500万円

 

この1,500万円が、老齢給付金の一時金から控除されることになります。

 

一時金の金額が1,500万円以下であれば、税金は一切かからないということです。

 

この控除額よりも一時金の金額が大きいと、差額に対して所得税と住民税がかかります。

 

掛金を支払ったときに安くなった税金が、一時金受け取り時にまとめて支払うことになるイメージです。

 

それでも退職所得は、給料よりも税金の計算上、かなり優遇されています。

 

圧倒的にお得であると言ってもいいでしょう。

 

 

確定拠出年金のデメリット

手数料の支払い

確定拠出年金は、加入時に口座開設手数料がかかり、その後も毎月様々な手数料が発生します。

 

元本割れのない定期預金などの商品で運用すると、現状では利息がほとんどつきません。

 

そうなると受け取る利息より支払う手数料のほうが、大きくなるという現象が起こります。

 

そうなってくると元本割れがないと言いつつ、支払った掛け金が目減りしていくことになります。

 

毎月数百円の話ですが、30年以上支払い続けると10万円を超えてしまいます。

特別法人税

確定拠出年金の毎年の年金資産残高に対しては、特別法人税(国税1%+地方税0.173%=1.173%)が課税されます。

 

ただし、1999年からずっと課税が凍結されていて2020年3月31日までは課税されません。

 

厚生労働省などの関係団体からは廃止を求める声が上がっています。

 

今の日本の状況では、凍結が解除されることはないと思いますので気にしなくても大丈夫です。

60歳まで原則解約不能

確定拠出年金は公的年金制度の一部で貯蓄ではないので、好きな時に掛金を引き出すことができません。

 

原則60歳までは払いっぱなしになります。

 

マイホームの購入資金に充てたいと思っても引き出せない流動性リスクがあります。

 

今のところ、この年金資産を担保にお金を借りることもできません。

運用リスク

確定拠出年金は他の年金制度と違い、将来もらえる金額があらかじめ確定しているわけではありません。

 

拠出した掛金を様々な商品で運用していくことになります。

 

その商品の中には、定期預金などの元本保証型の商品もありますが、大部分はリスクのある投資信託などになっています。

 

リスクがある金融商品で掛金を運用する場合は、結果として支払額よりも給付額が少なくなる可能性もあるのです。

 

これは2016年8月の私の掛金の運用状況(全て投資信託で運用中)です。

 

 

 

拠出した掛け金に対して10%以上の含み損の状態でした。

 

対して、2018年8月時点での状況は、11%の含み益になっています。

 

 

 

いろいろな手数料を払いつつ、2年でかなり挽回できました。

 

しかし、株式市場で大暴落が起きればあっという間に含み損を抱えることになるかもしれません。

どの金融機関を選ぶかが超重要

確定拠出年金の口座には、次のような手数料がかかります。

 

初期手数料

個人型確定拠出年金に加入するとき、企業型確定拠出年金から移ってくるときにかかる手数料です。

 

一度だけ国民年金基金連合会に2,777円支払うことになっています。

 

私が確認した金融機関は、全て同じ金額でした。

 

毎月の手数料

この毎月発生する手数料が最も重要で、金融機関の事務手数料などになります。

 

どの金融機関で口座を作ってもかかるものとして、

  • 国民年金基金連合会:月103円
  • 事務委託先金融機関(資金管理サービス信託銀行):64円
  • 合計:167円

があります。

 

さらに、口座を開設した金融機関に支払う運営管理手数料があり、0円から数百円を毎月支払うことになります。

 

都度手数料

給付金の受取時にかかる給付手数料432円や、加入資格がなかったときに発生する掛け金の還付に対する手数料1,461円~があります。

 

他社に確定拠出年金を移すときにかかる移管手数料4,320円~があります。

 

運営管理手数料が、0円の金融機関を選ぶのが重要です。

 

調べたところでは、証券会社は0円のところが多く、銀行は300円ほどの手数料を取っていました。

 

次の表を参考にしてください。

 

金融機関 運営管理手数料
楽天証券 無料
松井証券 無料
 SBI証券 無料
大和証券 無料
りそな銀行 316円
三菱UFJ銀行 378円

 

 

おすすめの金融機関

おおくの証券会社では、運営管理手数料が0円となっていますので、証券会社で口座を開設するのがいいでしょう。

 

毎月かかってくるコストに差がないので、選べる投資先の数で決めるのがいいと思います。

 

金融機関 運用商品の数
楽天証券 32
松井証券 12
 SBI証券 63
大和証券 16
りそな銀行 26
三菱UFJ銀行 24

まとめ

個人型確定拠出年金にはデメリットもあります。

 

掛金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時の税制優遇などデメリットを上回る大きなメリットがあります。

 

支出を伴わない節税というものはありません。

 

余剰資金で投資を行うなら、その一部を確定拠出年金にまわしてみませんか?

 

確定拠出年金制度をうまく活用して、できるだけ手元に残るお金を増やしましょう。

 

少し古いですが、口座を開設するきっかけになった本です。